MAGGOT IN TEARS

Debut full-length album from KAREN features nine songs total (subject to change).

ART-SCHOOLの木下理樹と戸高賢史、現在活動休止中のdownyの仲俣和宏と秋山隆彦を加え、元on button downのアチコがボーカルを務めるバンド、KAREN。2005年から定期的にライブ活動はしていたが、ついに初音源『MAGGOT IN TEARS』が完成した。ポストロックを通過した、雄大なサウンドスケープが広がるバンド・サウンド。平熱と高熱を行き来するような心地好い浮遊感。2本のギターは美しい旋律を奔放に奏で、タフなビートを刻むリズム隊と手をとりあって、アンサンブルはスキップするように躍動している。その上で伸びやかに響くアチコの歌声は、楽しげだ。透き通ったイノセンスと、たおやかなエモーション。目の前の景色の温度を少し上げてくれるような、鮮やかな抽象絵画のような歌詞は、聴き手のイマジネーションを豊かに膨らませていく。厳選された9曲が収録されているが、特にKAREN特有のポップ感が表れているのが2曲目に収録された「"Lorraine"」だ。颯爽とドライブしていくひんやりとしたギター・フレーズには思わずニヤリとさせられるし、アチコのボーカルと木下の歌が醸し出すコントラストは、このバンドの大きな武器だ。多彩なバックグラウンドを持つ5人のミュージシャンによるサイド・プロジェクトと侮るなかれ。メンバーそれぞれの感性が、自由かつ端正に重なり合ったポップで濃密な音楽が、KARENの楽曲からは確実に聴こえてる。