百の都市と千の鐘楼をもつイタリアは、百の料理と千のレシピを誇るイタリアでもある。長い歴史のなかでさまざまな地域や社会層によって作り上げられた料理や食文化が都市のネットワークにささえられて互いに交流・混公交するところから、「イタリア的」食のアイデンティティは形成されてきた。古代ローマから始まって、ヨーロッパの料理文化をリードしたルネサンス期、そして地中海式食事法として今また新たな注目を浴びる現代まで、豊かな食の伝統の変遷をたどる。イタリアのみならず、広く食文化の歴史を知るうえでも必読の書。