ファッションサロンで働く新進デザイナーのサファイアは、ジェバイ王国のシーク、ハリドに半ば命令のようにわずか四週間でウエディングドレスを作ってほしいと依頼される。赴いたジェバイで待っていたのは、ハリドからの過剰なほどの歓待。だがいつになっても、ドレスの主である花嫁を紹介してもらえず、あまりに奇妙だと思い始めた矢先、彼女は驚愕の事実を知る(『宮殿に囚われて』)。アラブの王族ハリドと政略結婚させられそうだったエレーヌ。友人のパオロは、そんなエレーヌを救うため、ハリドが誰かと結婚するまでと決めて形式上の結婚を提案する。偽りの婚姻関係を続けて十二年、ついにハリドの結婚が決まるが、ハリドが奪うようにして花嫁にした女性がパオロの想い人と知り、エレーヌは罪の意識に襲われて凍りついた(『愛されぬ妻』)。