株式会社富田林組、俺そのいかめしい名前が刻みこまれた、むやみやたらと黒光りしている巨大ビルを、まるで蟻が人間を見上げるかのように仰ぎ見た。バカだバカだと言われ続けてきたこの俺が天下の大手ゼネコン「富田林組」に入社できたのはまさに奇跡としか言いようがない。ひとも羨むバラ色のサラリーマン生活が待っている…はずだったが、待ちかまえていたのは恐怖と理不尽の「業務命令」だった!嗚呼、神様でも仏様でもなんでもいいです。俺を、俺を、この会社からリストラしてください!天下の大手ゼネコン「富田林組」の秘密、そして俺こと田中たもつ22歳を待つ運命とは!?抱腹絶倒、前代未聞のリーマン・ショック小説!第10回ボイルドエッグズ新人賞受賞作。