裏店に住む十六歳の娘お沢が三、四人の侍にさらわれ、詰め寄った下引きの金太が逆に惨殺された。直参旗本の無法な仕業だった。若年寄・堀田相模守俊行が目を付けたのが、星門而念流の門下生で塾頭まで勤めた三船謙志郎だった。堀田は将軍徳川吉宗の密命により人知れず悪しき旗本を討ち取ってもらう人物を探していたのだ。書き下し剣豪小説。