疾病の克服、という目的のために進歩してきた免疫学研究は、いまや医学・薬学領域だけでなく、理学・生命科学研究においても重要な役割を果たしている。本書では、免疫システムがどのように働いているのか、自己と非自己をどのように認識しているのか、免疫をつかさどる細胞はどのようにして信号を伝達しているのか、など免疫の基礎となるシステムを、分子のレベルから理解する。アレルギー、癌、自己免疫疾患、免疫不全症(エイズなど)、移植の拒絶などがどのようなしくみで生じるのかを考える。さらにそれらを克服する薬の開発についても、最新の知見なども加え、研究の進展や展望を示している。