現代のグローバル社会の歪みが噴出した9・11テロ事件-。テロルはもともと「恐怖」を意味するが、私たちの生活は文字通り、テロルの影の下にある。「だからこそ政治の出番ではないか」。元来、政治とは暴力と恐怖をもって民衆を支配するものであるとともに、暴力や死の恐怖が氾濫する危機的事態を回避する知恵でもあった。ホッブス、マキアヴェッリにまで遡り、民主主義や主権など、危機的現実の中でこそ要請された政治的概念の誕生と歴史的変遷を検証。丸山眞男の偽善論を核に、「政治的なもの」の現代的意義をソシュール/デリダの言語論やジジェクの資本主義論によって実践的に読み解き、再構築する。