日本史上最後とされる戒律復興運動を展開した真言宗僧・釈雲照は、「精神主義」運動などを評価する歴史観から「近代との対決を拒否した僧」として描かれてきた。だが、それは妥当な理解なのか―。雲照の思想と事績の再検証を通じて、彼が同時代の仏教者たちと同様に近代日本の諸問題に対応すべく「戒律」の再編成を試みていた事実を浮き彫りにし、「戒律の近代」を再考する。