“フェティシズム”とは、神と人間(信徒)との間の“創造・被創造”および両者の地位をめぐる転倒現象をさしている。この語をやがてマルクスは経済学に応用し、デュルケムは社会学に、フロイトは精神分析学に、それぞれ応用するようになった。そのように多様な使用方法のあるフェティシズムを、本選集では先史の精神(母権・神話・儀礼など)から現代思想(ロボティズム・近代の超克・アソシアシオン・フクシマ以後の科学論ほか)までの分析に応用している。