一七九八年にジェンナーが発表し瞬く間に世界にひろがった牛痘種痘。しかし「鎖国」政策下の日本への導入には五〇年の歳月を要した。最新技術を日本に伝え、広めようとする苦闘のなかで形成されていった国内外の医師や学者の知的ネットワークを辿りながら、その後の日本の近代化を準備することにもなった彼らの営みを生き生きと描き出す。