フランスのバロック期に活躍した、裏声は使わない高音域のテノールをオートコントルという。17世紀の中盤、既に歴史に名を残したオートコントルは存在したが、その生涯のうちに名を馳せたということでは、ルイ・ゴーラル・デュメニ (またはデュメニル)が最初の重要なオートコントルと言えるだろう。リュリが見出した時、彼はなんと料理人だった。1677年にデビューした頃には、彼の演技と声の力強さを誰もが称賛し、音楽の全てを吸収して益々磨きをかけてゆくその耳の良さに驚かされたという。数世紀を経た現代、バロックのスター・テノールであるレイナウト・ファン・メヘレンは、リュリ、ラモー、グルックが生きた各時代に活躍した、オートコントルを讃えるアルバム三部作を企画、こちらはその第一弾。リュリはもちろん、マレやシャルパンティエなど、デュメニの輝かしい経歴を彩った作品の数々を、生き生きとした快演で収めている。