鉄道が日本ではじめて走ったのは、明治五年(一八七二)。鉄道は、交通の要だった街道にそって作られた。街道は参勤交代などに使う幕府の官道、生活物資を運ぶ道、また信者が寺社に詣でるための祈りの道でもあった。まさに歴史の流れとともに発達してきたのが街道であり、鉄道であったのだ。本書は、全国の歴史街道を著者が一つひとつ丁寧に「鉄道で」訪ね歩き、旅の楽しさ、そこに息づく歴史の魅力を伝える一冊である。移りゆく車窓の風景が、土地の歴史を語りかけてくれるだろう。