治癒をもたらすことなく治療することは可能か。治療の目的は病いの治癒であり健康の回復だが、治療は必ずしも治癒をもたらさない。多発性の関節炎を伴う自己免疫疾患に苦しむ自身の体験から書かれた本書は、現代の医療がその中心的目標とする「治癒」の概念、その基底にある「健康」観、「生命」観を問い直す。治療の技術が、病む人の生に寄り添うものとなるための、新たな哲学が誕生する。