准男爵令嬢ジョーンは24歳になった。世間からはいきおくれと言われてしまう年齢だが、最新流行のドレスをまとっても、背が高すぎるし、美しくもないとあきらめていた。ある朝、ジョーンは母から兄ダグラスに舞踏会に出席するという約束を取り付けるよう頼まれる。一向に結婚しそうにない兄をせっつけというのだ。ジョーンは帰り道に、密かに話題になっている“罪深い五十の道”という本を買うのが目的で、兄の家に出かける。ところが、そこで彼女を出迎えたのは兄の親友トリスタンだった。久しぶりに再会したトリスタンは前よりもたくましくハンサムに見えたが、その後の舞踏会で彼は流行のひだの多いドレス姿を着たジョーンを「開きかけの傘みたいだ」とけなす。腹を立てながらも、ダンスを踊ったふたりはなぜかキスをしてしまう。そのキスは、物語で読むよりもずっと劇的で...。